2009年5月10日日曜日

「ようこそマシンへ」ピンク・フロイド

原題:「Welcom To The Machine」

■「Wish You Were Here
「炎 〜あなたがここにいてほしい〜」収録
 


わが息子よ、ようこそ、このマシンへようこそ。
どこに行っていたんだい?どこへ行っていたかわかってるから大丈夫さ。
おまえは配管の中にいたんだ、時間をつぶし、オモチャと「ボーイスカウト活動」を与えられて。
おまえはは母親を罰するためにギターを買った、
学校は好きじゃなかった、そして
おまえは誰の道化でもないと知っていたんだ、
だからようこそマシンへ
わが息子よ、ようこそ、このマシンへようこそ
おまえはどんな夢を見ていたんだい?どんな夢を見ればいいか教えてあげたから大丈夫さ。
あまえはあるビッグスターのことを夢見た、彼はスゴイギターを弾いた
彼はいつもステーキ・バーで食事をし、好んでジャガーを乗り回した。
だからようこそマシンへ

Welcome my son, welcome to the machine.

Where have you been? It's alright we know where you've been.
You've been in the pipeline, filling in time, provided with toys and 'Scouting for Boys'.
You bought a guitar to punish your ma,
And you didn't like school, and you know you're nobody's fool,
So welcome to the machine.

Welcome my son, welcome to the machine.

What did you dream? It's alright we told you what to dream.
You dreamed of a big star, he played a mean guitar,
He always ate in the Steak Bar. He loved to drive in his Jaguar.
So welcome to the machine.


【解説】
「炎〜あなたがここにいてほしい(Wish You Were Here)」の旧LPのA面最後の曲である。最初の「狂ったダイアモンド パート1」からSEをはさんで引き続き演奏される曲だ。SEは動力室の中のような規則正しい音。

そして美しいアコースティックギターの音とともに、振り絞るようなデイヴ・ギルモアのボーカル。「ようこそ」といいながら、そこには相手を迎え入れるというより、何か追い詰められたような悲痛な叫びを感じてしまうような歌い方だ。そして感情が落ち着かないようなメロディー。迎え入れているのは誰だ?叫んでいるのは誰だ?

「Welcome my son」と「話者」は呼びかける。キリスト教で信者のことを「Son of God」と言うことがあるので、必ずしも「話者」=「父」が「息子」に語りかけているとは限らない。マシンで人々を救済しようとしている団体の者とも言える。

そしてその団体の「わたしたち(we)」は、「おまえ(you)」がどこへ行っていたかも知っているし、何を夢見るかも教えたのだ。その夢とはビック・スターになる夢。

つまりこういうことではないか。

「私たちは、あなたが抑圧された子供時代を送り、ギターを買うことで母親に反抗しようとしたことも、学校が嫌いで、誰からもバカにされたくないと思っていたことも知っている。だからビッグ・スターになるんだろ?それを夢見ることを教えてあげただろ?贅沢な生活が君を待っているんだぜ。だからマシンへおいで」

細かいことをつべこべと言う母親(ma = mother)ではなく、でっかい夢を語り、わかったような口ぶりで父親のように接してくるこの「話者」は、「夢」を実現させるための音楽業界人であり、machineは音楽業界の売らんがためのシステムと見ることができるのではないか。

そこに「狂気(The Dark Side Of The Moon)」の成功でビッグになりながら、憔悴しきってしまったメンバーの心境が込められているのではないか。自分たちが見た夢の先には、実は苦悩しかなかったことを、ギルモアのボーカルや嵐のように唸るようなリック・ライトのシンセサイザーが示しているように思える。つまり成功したのに追い詰められている自分たちの苦しみを表した歌なのだ。

しかしまたそうした孤独は、単に音楽業界の問題だけではないことも見て取ることが出来る。両親や学校、そして「わたしたち」のような大人によって、押さえ付けられ、抑圧され、何かを常に強制されてきたこれまでの人生に対する絶望、怒り。そうした人々の心に潜む孤独の叫びが、「マシン」を夢想させているのかもしれない。

曲は場所へ移動するようなSEでパーティーが行われているかのような穏やかな騒がしさにあふれている部屋へ到着する。しかし唐突に話し声や笑い声は消えていく。

作詞は後に「The Wall」を作り上げるロジャー・ウォーターズ。「The Wall」の影が垣間見える。
   

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